日本における「不妊症」とは、子供を望んでいて、2年以上性生活をしていても妊娠しないことをいいます。 もともとは、子供が欲しいと思っているカップルおよそ10組に1組が不妊症とされていました。 しかし、最近では7組に1組が不妊症とされ増えています。 なぜ、不妊症のカップルが増えてきたかというと、まず理由の1つに女性の結婚、出産の高齢化があります。 年齢が重なるほど妊娠が難しくなります。 なぜなら、卵子の質に変化が起こり、ホルモン機能低下など起こるからです。 また、加齢に伴い、子宮筋腫、子宮頸がん、卵巣腫瘍などになる可能性も高くなり、妊娠や出産しにくい状態になってしまうのです。 妊娠しにくい場合に、最近では「体外受精」をいう方法で妊娠に期待がもてるようになってきました。 しかし、やはり女性が35歳を過ぎると妊娠や出産が出来る割合は、低くなります。 それに、流産や早産の危険性も高くなります。 また、妊娠中に「妊娠高血圧症候群」「妊娠糖尿病」などを引き起こす可能性も高くなります。 すると、母子の命に危険が及ぶこともあります。 不妊症かもしれないと思ったら、2年以上待つのではなく、早い段階で産婦人科を受診することをおすすめします。 ...
不妊症の原因となる問題は次のようなものです。 ◆女性の場合 「排卵に問題がある」・・・排卵を調節する働きをするホルモン異常や卵子が十分に発育していない場合などに、排卵が起こりにくくなる場合があります。 「卵管に問題がある」・・・クラミジア感染症や虫垂炎、子宮内膜症などの疾患によって、卵管が狭くなったり、詰まったり、癒着がおこってしまうと、卵子が正常に卵管に取り込めなくなったり、受精が正常にできなくなります。 「着床に問題がある」・・・着床の時期に黄体ホルモンの分泌も正常に行われないと、うまく着床できないこともあります。また、子宮の内腔を変形させてしまう子宮筋腫や子宮腺筋症などによっても着床に影響をきたします。 「頸管に問題がある」・・・子宮の入口に位置する頸管の粘液が少ないと正常に精子が入ることができません。 また、精子の運動を抑えてしまう「抗精子抗体」があると、妊娠しにくくなります。 ◆男性の場合 精巣で精子をつくる機能が正常に働かないことによる不妊症が、男性の不妊症のおよそ90%を占めています。 ...
不妊症かなと思った時には、早い段階で産婦人科を受診することをおすすめします。 しかし、受診するにもすぐに行けそうもないときは、まず「基礎体温」をつけてみてください。 基礎体温を記録したグラフを受診時に持参すると検査を受けるにも役立ちます。 健康な場合の基礎体温の変化は、月経が始まると低温になります。 排卵が終わる時期から次の月経の始まる時期までは高温になります。 このような体温の変化を「低温期」「高温期」といいます。 この両方の変化がある場合は、排卵があると考えられます。 しかし、高温期が見られない場合は、排卵がない状態かもしれません。 また、高温期は12日から16日くらいですが、9日間以下の場合も排卵やホルモン分泌の異常が考えられます。 基礎体温が正常に変化していないようなときは、早めに産婦人科を受診することが大切です。 ◆基礎体温の測定 1.目覚めたら、寝たままの姿勢で口の中の舌下の温度を測ります。 2.測った基礎体温は、グラフに記入します。 ...
女性における不妊症の検査は、次のような内容です。 まず、「問診」と「内診」が行われます。 そして、基礎体温のグラフを基に月経周期をみて、その周期に合わせた検査を行います。 ◆月経周期に合わせて行う検査 ●ホルモン検査 「月経」・・・月経が始まって3日から5日経過したころに採血します。 脳の下垂体や卵巣から分泌されるホルモンの値を調べるためです。 ●子宮卵管造影検査 「卵胞期」・・・卵胞が成熟する期間のことで、この期間に子宮へ造影剤を注入してエックス線撮影を行います。 この検査によって、子宮の形、卵管の狭窄や閉塞、癒着の有無などがわかります。 ●頸管粘液検査 「排卵期」・・・排卵期に行われる検査で、卵胞の大きさ、子宮内膜の厚さなどを超音波を用いて調べます。 また、頸管の粘液を採取して性質などを調べます。 ●黄体ホルモン検査や子宮内膜組織診 「黄体期」・・・この時期には、子宮内膜が厚くなって、妊娠の準備期間です。 高温期の中間時期に採血をして黄体ホルモン分泌を調べます。 まれに、一部だけ子宮内膜の組織を採取して調べることもあります。 ...
不妊症の人の中には、原因がはっきりしなかったり、薬物療法などの軽い治療で不妊症の原因が改善できる人も少なくないです。 そのような場合は、排卵期に性交をするといった「タイミング療法」という方法で、自然妊娠を目指す治療が基本となります。 不妊症の原因がはっきり分かっている場合は、タイミング療法と併せて、その原因を改善するための治療を行います。 ◆不妊症の原因が「排卵」 「排卵誘発薬」が原則使用されます。 まずは、比較的作用の弱い経口薬から使われて、効果が不十分な場合は、強い作用が期待できる注射薬をすることもあります。 1回の月経周期に経口薬は5日間、注射は1週間毎日です。 ただし、注射薬を使用した場合、卵巣が腫れることによる腹痛や胸腔、腹腔に水がたまる症状を起こす場合もあります。 また「多胎妊娠」になる可能性もおよそ20%あるとされています。 ◆不妊症の原因が「卵管」 卵管の狭窄や詰まっているような状態のときは、子宮の入口、子宮の内腔から卵管の入口に細い管を入れて、生理食塩水を注入し、卵管内を広げる治療を行います。 卵管の癒着があるときは、癒着部分を剥がすような治療を行います。 ◆不妊症の原因が「着床」 着床するときに必要な「黄体ホルモン」の補充をします。 または、着床の妨げとなっている「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」のときは、薬物療法や手術を行います。 ◆不妊症の原因が「頸管」 頸管の粘液が少ない、抗精子抗体があるなどの場合は、治療することは難しいので、「人工授精」や「体外受精」「顕微受精」などが検討されます。...
不妊症の原因が、頸管の粘液が少ない、抗精子抗体があるなどの場合は、治療することは難しいので、「人工授精」や「体外受精」「顕微受精」などが検討されます。 ◆女性の不妊治療「人工授精」 人工授精を受けるのは、タイミング療法を行っても妊娠が見られない場合、頚管に問題がある、精子の数、動きに問題があるなどの場合になります。 人工授精とは、排卵日に合わせて、精液の中から活発に動いている精子を選んで、子宮内に注入します。 1回の人工授精で妊娠する確率は、5%ほどです。 しかし、何回か治療は行われるため、最終的にはおよそ20%とされています。 人工授精によって妊娠した人のおよそ90%が、6回ほどの人工授精で妊娠します。 この人工授精の治療を受けるにあたって、健康保険は適用外です。 そのため、治療費用はすべて自己負担となります。 かかる費用はその施設によっても違いがあります。 費用は、1回の人工授精で1万円から3万円程度が多いようです。 ...
不妊症の原因が、頸管の粘液が少ない、抗精子抗体があるなどの場合は、治療することは難しいので、「人工授精」や「体外受精」「顕微受精」などが検討されます。 ◆女性の不妊治療「体外受精」 体外に卵子と精子を取り出し、シャーレという容器の中で受精させます。 その後、その受精卵は細胞分裂して、「胚」となった段階で子宮に移植する治療方法です。 人工授精を6回程度受けても妊娠しなかった場合、抗精子抗体がある、男性に不妊の原因があるときなどに体外受精は行われます。 女性の年齢によっても違いますが、体外受精による妊娠はおよそ25%の確率で、出産する確率としては15%ほどです。 この治療方法も健康保険は適用外なので、すべて自己負担となります。 費用は、1回30万円から50万円ほどです。 ◆女性の不妊治療「顕微受精」 体外へ卵子を取り出します。 精液から精子を1つだけ取り出して、細いガラス管のような器具で、取り出していた卵子に注入します。 この顕微授精を受けるのは、何回か体外受精を受けても妊娠しなかったときや男性に不妊の原因があるときなどです。 この治療方法も健康保険は適用外なので、すべて自己負担となります。 費用は体外受精よりもさらに高額かかります。 ただし、自治体によっては「特定不妊治療費助成制度」があるため、自治体に問い合わせしてください。 ...
不妊症は、女性だけでなく男性にも原因が半分程度はあるとされています。 男性のおよそ10人から20人に1人が、不妊症の原因があるようです。 不妊症を調べる検査は、男女一緒に検査を受けるのが一般的です。 しかし、自分に原因があると分かることを避けたい気持から、検査を受けたがらない男性もいます。 男性の不妊症の原因は、次のようなものです。 ◆精子を作る機能の問題 精子の数が少ない、まったくいない、動きが悪い、形が正常ではない、精液の量が少ないなどです。 このようなことが起こる原因としては、睾丸が小さい、精索静脈瘤があるなどがあります。 男性の不妊症は、この精子を作る機能に問題がある場合がおよそ90%を占めています。 ◆精子の輸送経路の問題 精子は睾丸で作られ、副睾丸を経由して精管を通り、体外へ送り出されます。 しかし、精管が癒着していたり、狭窄していると精子が通ることができません。 ◆性機能の問題 男性ホルモンの低下、生活習慣病、下腹部の手術による損傷、ストレスなどが原因による「勃起障害」や「射精障害」などがあります。 ...
男性が、不妊症かどうか検査をする場合泌尿器科で受けることができます。 もしくは、女性と同じ産婦人科で受けることも可能です。 この場合は、医療機関へ行くのではなく、自宅で採取して専用の容器に精液を入れて、女性が持参して受けることも可能です。 まず、「精液検査」を受けます。 この検査結果で不妊症が疑われる部分として、精子の数、精子の形、精液の量、活動している精子の割合などに問題がある場合です。 精液の量については、日によっても違いがあるので、受診日を変えて3回ほどこの検査を受ける必要があります。 精液検査で問題がある場合は、さらに詳しい検査が行われます。 ◆睾丸の大きさ 睾丸が小さすぎると、精子を作る部分でもあるため、精子を作ることが難しいとされています。 ◆副睾丸の炎症の有無 精子をためておく部分の副睾丸が炎症していると、精子の質が低下してしまいます。 ◆精索静脈瘤の有無 睾丸から心臓へ流れている静脈の血流が悪くなると、うっ滞してしまい血管がこぶのようになります。 これを精索静脈瘤といいます。 このうっ滞した血液によって睾丸が温められてしまい、睾丸の温度が上がります。 すると、精子をつくる機能が低下してしまいます。 ◆ホルモンの値 生殖能力と関係があるホルモンのバランスが乱れていると、精液の状態も乱れてしまいます。 ...
精子を作る機能に問題がある場合、およそ70%は原因がはっきりしていません。 生まれつきのものとされていて、中には染色体の異常のこともあるようです。 そして、20%ほどが精索静脈瘤によるものだとされています。 これら2つの場合の治療方法は、次のようなことが行われます。 ◆精索静脈瘤の場合 手術によって精索静脈瘤を切断して取り除きます。 すると、血液が正常に流れるようになり、手術を受けた人のおよそ40%から70%に改善がみられ、40%の割合で自然妊娠が可能だといわれています。 ◆原因不明の場合 栄養のバランスがとれた食事を規則正しい摂り、十分な睡眠もとるようにします。 さらには、ビタミン薬や漢方薬などを用いた薬物療法を行うこともあります。 ホルモンバランスの崩れがあるときは、ホルモン補充のためのホルモン療法を行います。 治療している間は、女性の排卵日とも併せたタイミング療法を行います。 薬物療法を受ける期間は、およそ1年間で、その間に自然妊娠がない場合や女性の年齢などの理由によっては、人工授精や体外受精が行われます。 ...
精液に精子がいなくても、睾丸にはわずかながら精子がいる場合があることがわかってきました。 そのため、睾丸から精子を取り出す手術を行い、体外受精をすれば妊娠の期待がもてるのです。 といったように不妊症の原因が、男性にあったとしても、精神的にも身体的にも女性の方が負担は大きくなります。 ですから、男性は女性にかかる負担のことを十分に理解して、相手をいたわる気持ちを持つことがとても大切です。 また、女性も不妊症の原因が男性だと分かったからといって、必要以上のプレッシャーになるようなことは控えるようにします。 不妊症の治療については、男女のどちらかが頑張り過ぎてもよくありません。 相手に任せ過ぎてしまうと、2人に距離感がうまれてしまうこともあります。 すると、不妊症の治療をしていてもうまくいかなくなってしまいます。 不妊症の治療は、2人で一緒に考えることが大切です。 2人で相談し合い治療を進めて行くようにしてください。 ...